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集中力「視界のヒミツ」と「脳科学」

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空間の散らかり

「毎日ピアノに向かっているけれど、なぜかすぐに集中が切れてしまう」
「宿題や練習を始めようとしても、ソワソワして頭に入っていない気がする」

そんなお悩みを抱えている方、実は結構いるようです。

「根気がないのかな…」と心配される方もいますが、それはやる気や才能のせいではなく、
もしかしたら「いま、目に入っている景色」が原因の可能性があります。

今回は、集中力・学習効率と「空間の散らかり」の関係についてお話してみたいと思います。

脳のメモリを奪い合う「視界のノイズ」

アメリカの有名大学であるプリンストン大学神経科学研究所が2011年に発表した研究によると、
人間の脳は「視界に入るすべてのもの」を、
私たちが無意識のうちにすべて処理しようとする習性があることが分かっているそうです。

ピアノに向かったとき、譜面台のまわりにプリントが山積みになっていたり、楽譜や文具が散乱していたり、
視界の端に生活感のある物が溢れていたりしませんか?

脳科学の視点から見ると、これらはすべて「脳のエネルギーを奪うノイズ」と言う研究結果があります。

脳の処理能力には上限があります。
目の前が散らかっていると、脳は「あれは後で片付けなきゃ」「あれは面白そうな本だな」
といった無関係な情報を処理することに、大切なエネルギーを切り崩してしまうそうです。

以前、何気なく読んでいたお菓子作りのレシピ本を見えるところに置いて練習していた時のこと、
目に入るとお腹が空くし、お菓子を作りたくなるし、美味しそうな写真を見たくなる、、、そんな経験がありました。

もうその時点で音なんて聴こえていません。

パソコンやスマートフォンで、たくさんのアプリを同時に開きっぱなしにしていると、
全体の動きが重くなってフリーズしそうになりますが、
まさにあの状態が脳内で起きているそうです。

これでは、せっかく練習をしようとしても、頭の中にスッと入っていくための「余白」が残されていません……

目に入るだけでストレスホルモンが増加する

さらに、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が行った大規模な追跡調査では、
モノにあふれた乱雑な空間で過ごす人は、そうでない人に比べて「コルチゾール(ストレスホルモン)」の値が著しく高くなる
ことが実証されているそうです。

「なぜか部屋が散らかっているとイライラする、落ち着かない」という感覚は、決して気のせいではありません。
脳が視覚的なストレスを感じて、軽度のパニック状態、常にアラートが鳴っている状態になっている証拠です。

心がソワソワと緊張した状態では、楽譜の細かい音符を読み取ったり、
一瞬の音のニュアンスを聴き分けたりする繊細な集中力を保つことは、大人のプロであっても不可能です。

クリアな音楽を奏でるためには、まず「クリアな心と空間」が必要不可欠なのです。

例えば

私はよく目を瞑って練習をしているのですが、それは視界に余計なものが入ると集中して音を聴けないため、

無意識に目を閉じていることが多いです。

また友人のベテランのピアノの先生が、学校のテストでケアレスミスが多い生徒さんが、学業で伸び悩んでいたところ、
「机は綺麗にしている?」と聞いたらぐちゃぐちゃで散乱しているとのこと。。。

綺麗にお片付けをしたら、ミスも減って成績も伸びたそうです。

別の友人は超有名なデザイン事務所で働いているのですが、
出勤する前に必ず机を綺麗に片付けてから帰ることが義務付けられているそうです。

「翌朝、気持ちよく仕事ができるため」という理由のほか、
デザインに集中するために「余計なものが視界に入らないようにする」
また「汚い部屋から洗練されたデザインは生み出せない」という理由があるそうです。

デザインは1本の線でイメージが変わってしまうため、脳をスッキリさせた状態でアイディアを出していくそうです。

でも例外もあります。

例えば画家のアトリエ。

性格や描いている種類、画法にもよると思うのですが、
床にたくさんの絵の具と筆が散らかっていて、目に入るものをインスピレーションで手に取り、
混ぜては色を作り、重ねる。

絵画は眼に観える芸術なので、音の芸術とは少し違うかもしれないと考えたことがありました。

今日からできる!「1分間のリセット法」

とはいえ、毎日忙しい生活の中で、家全体を常にピカピカに片付けておくのは至難の業。

私の練習室も、自分の曲だけではなく生徒さんが練習している曲の楽譜を全部引っ張り出すので、
目の前が楽譜だらけ!山積みになることがあります。

完璧を目指す必要はまったくないのですが、「自分が座ったとき、視界に入る範囲だけ」をスッキリさせることはとても大事です!

練習や勉強を始める前の、わずか1分間で構いません。
以下のポイントだけ、「リセット」してみてください。

  • ピアノの譜面台のまわりには、今使う楽譜以外を置かない

  • 鍵盤に向かったとき、左右の視界に入る余計なモノを一度カゴなどに避ける

物理的にピアノの上に物をたくさん乗せてしまうと、音が響かなくなることは弾いている本人が一番感じると思います。

まとめ:空間の余白

ほんの少し視界をシンプルにするだけで、同じ15分、30分の練習であっても、
脳への吸収率や上達のスピードは驚くほど変わります。

練習していても周りが乱れているとイライラしてアイディアが閃かなかったり、
特にピアノは黒いので目の前の埃が目につくとそれが気になって、音に集中できなかったり、、、
そんな経験、少なからずいらっしゃると思います。

私は潔癖症では全くないのですが、視界に入るモノの影響は大きいというか、、、
気が散ってしまいフリーズする感覚があるので、練習前に「簡単に」周りを整えることを習慣にしています。

今日から楽器のまわりやデスクの上の「1分間リセット」を、新しい習慣として取り入れてみませんか?

簡単にできるリセット法、オススメです!

 Princeton University (2011) “Interactions of Top-Down and Bottom-Up Mechanisms in Human Visual Cortex”
 UCLA Center on Everyday Lives of Families (CELF)