心待ちにしていた『大ゴッホ展』へ!
数ヶ月前からずっと楽しみにしていた展覧会『大ゴッホ展』が、
5月29日より上野の森美術館で開催されています。
土日の混雑を想定して平日の日時指定で行ってきたのですが、想像以上の大大大混雑!!
それでも、感無量になる素晴らしい作品の数々が並んでいました。
初めてゴッホの作品に出会ったのはいつだったのか、記憶は定かではないのですが、
高校生の頃に鑑賞した作品に深く感動して以来、私はずっとゴッホの大ファンです。
作品そのものはもちろん、彼の「書簡集」からも多大な影響を受け、
これまでに幾度となく励まされ、救われてきました。
イタリアへ留学する際にも、ゴッホの書簡集をトランクに入れ、渡伊したことを思い出します。
また、留学中の練習で行き詰まり、悩んでいたとき、どうしてもゴッホの絵が観たくなり、
格安航空券に飛び乗りオランダのゴッホ美術館へ駆け込んだこともありました。
ゴッホの作品を観ていると、描かれた情景や自然の音、そして彼の張り詰めた心情までもが聴こえてくるようで、
心臓がバクバクするほど心が揺さぶられます。
高校生から大学生の頃、シューマンの作品に夢中になった時期があったのですが、
ゴッホの作品を前にすると、シューマンを聴いている時と同じような感覚になる自分がいます。
主観的なことなので感じ方は人それぞれだと思いますが、
絵画から声や音が聴こえてくるような体験は、私にとってこれが初めてでした。
もしかしたら魂が震えるような素晴らしいコンサートを聴いたときの感覚に、とてもよく似ているのかもしれません。
それ以来、私はずっと彼の世界の虜です。
20年ぶりの来日!『夜のカフェテラス』
今回の展覧会のメインである『夜のカフェテラス』(1888年9月16日ころ)。

この名作を正面からじっくり鑑賞(および写真撮影)するためには、
なんと「60分待ち」の長蛇の列に並ばなければいけませんでした!
私はすぐに諦めて、少し斜めの位置から鑑賞しました。
斜めからでもその色彩の美しさは十分に堪能できましたが、もし正面から完璧に鑑賞されたい方は、
朝一番の枠を予約して行かれることを強くお勧めします。
この作品はオランダ国外に出ることが滅多にない貴重な作品だそうで、
今回はなんと20年ぶりの来日なのだとか!
グッズ売り場も非常に充実していましたが、こちらもやはり長蛇の列(そしてお値段も少し高め…笑)
それでも、SNSで「世界一美しい図録」と噂されていた通り、
解説や構成が素晴らしい図録を無事に購入でき、その他のお目当てのものも手に入って大満足でした。

音楽を、演奏を豊かにするもの
日頃の練習や詰まったスケジュールに追われ、なかなか芸術鑑賞に足を運ぶ時間を取れないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、そんな方にこそ、ぜひ時間を見つけて足を運んでいただきたい素晴らしい展覧会です。
ピアノを演奏する上で大切なのは「感性」です。
これは日頃のレッスンでも生徒さんたちによくお話しすることなのですが、
いくら毎日何時間もピアノに向かってテクニックを磨いていても、
それだけではいつか必ず表現に行き詰まってしまう瞬間が訪れます。
様々な経験を通して心が動かされたり、深く考えたり、美しいものを観たり聴いたり、人と言葉を交わしたりすること。
その積み重ねによって、私たちの感性は育まれていくのだと思います。
今回、大ゴッホ展の会場でとても驚いた光景がありました。
0歳の赤ちゃんを抱っこしたお母様が、旦那様に「この子に、この色を観てほしいの!」と熱心に作品を観せていたのです。
すると赤ちゃんは、満面の笑顔でニコニコしながら絵を見つめていて、大混雑の中、泣かずに鑑賞していたことに驚愕しました。
振り返れば、私の両親も大の美術好きで、昔の写真を見ると私は0歳の頃から様々な展覧会や個展に連れ回されていました。
0歳の記憶はありませんが、3歳頃からの記憶は薄っすら残っており、
その時間が自分を作っていたのだと実感することがあります。
そして大人になった今でも一緒に美術館へ出かけ、帰りにカフェで作品の感想を語り合う時間は、
私にとってかけがえのない幸せなひと時です。
素晴らしい絵を観たからといって、明日突然ピアノが上達するわけではありません。
劇的に何かがすぐに変わるわけではないかもしれません。
けれど、偉大な芸術作品に触れて心が震える瞬間、何かを感じ取る力は、私たちが音楽と共に生きていく上で、
また人生を歩んでいく上で、とても大切な「軸」になってくれるものだと信じています。
大人も子どもも、それぞれの感性で楽しめる特別な空間です。ぜひ皆さんも体感してみてください!
【大ゴッホ展 公式サイト】


