ご無沙汰しております
いつもご覧いただきありがとうございます。
しばらくブログの更新が滞っておりましたが、また少しずつ再開していこうと思います。
今回は、ピアノ学習においてとても大切な「譜読みの力」について、少し掘り下げてお話ししたいと思います。
最近は生徒さんたちのレッスンをしながら、譜読みの悩みを抱えている方が多く見られます。
「楽譜を読むのが遅い」「時間が掛かって大変」「譜読みが雑になってしまう」という声が聞かれます。
譜読みは曲を演奏するために必ず通る通過点で、最初の一歩です。
今日は、ピアノ初心者さんはもちろん、譜読みが苦手な方にも参考になるよう、
効率的で確実な譜読みの方法をステップごとにお伝えします。
【ステップ1】まずは「調号」と「拍子記号」を確認!
譜読みを始める前に、まず最初に必ず見ることは、
「調号(シャープやフラットの数)」と「拍子記号(例:4/4拍子や3/4拍子など)」です。
- 調号を見ることで、その曲がどの調性で書かれているかが分かります。
- 拍子記号を確認することで、リズムの取り方や拍の感じ方が分かります。
例えば、調号にシャープが1つなら「ト長調」または「ホ短調」となります。
調性と拍子記号を最初に確認することは、その楽曲のキャラクターを知る上でとても大切なことです。
【ステップ2】「調号」と「拍子記号」をしたら、最後まで自力で弾いてみる!
最初はとても難しいことですが、最初から最後まで通して自力で弾いてみることをしてみましょう。
ぐちゃぐちゃになってしまっても構いません!
速い楽曲の場合、少しテンポを落として良いので、同じテンポで最後までとにかく弾き切ることが大事です。
音符を読むことが苦手な方にとっては凄く集中力を使いますし、
最後まで辿り着く前にギブアップしたくなるかもしれません。
でも我慢!最後まで自力で弾き切りましょう。
最初に設定したテンポで最後まで弾くことが大切です。
もし途中で難しくて片手だけになってしまっても、テンポ通り先にどんどん進みましょう。
初めての曲なのですが、不完全で大丈夫です!
この練習は譜読みの練習だけでなく、楽曲のキャラクターを掴んだり、分析力の訓練にとても有効です。
私は園児のレッスンの時も、横でサポートをしながら最後まで弾き切る練習を取り入れています。
最初は大変なのですが、自宅で毎日少しでも練習されている方は、
1年ほどで、自力で音符が読めるようになっています!
【ステップ3】右手と左手、別々に読む
ステップ2の方法でなんとなく全体像が掴めたら、早速細かく譜読みをしていきます。
譜読みが苦手な人、初級の方に多いのが、「最初から両手で弾こうとする」こと。
まずは、右手と左手を別々に、しっかり譜読みしましょう。
入門〜初級の楽曲は右手がメロディー、左が伴奏になることが多いです。
- 右手(ト音記号)は主にメロディー担当
- 左手(ヘ音記号)は伴奏や和音の土台になることが多い
それぞれ、音とリズムを確認しながら、声に出して読んだり、
音を鳴らさずに指で弾く動作だけをすると、頭にも身体にも入りやすいです。
【ステップ4】音名を声に出して読む
音符をただ「目で見る」だけではなく、実際に音名(ドレミ)を声に出して読むことも、おすすめします。
「ド・レ・ミ・ソ・ファ・ソ…」と音の流れを口に出してみると、リズムや跳躍(音の飛び方)も自然に意識することができます。
【ステップ5】指番号と運指を確認
次にどの指で弾くか、指番号を意識することも、譜読みをスムーズに進めるコツです!
指番号が書いてある場合は、まずぞれに従って試してみましょう。
指番号が書いていない場合、自分で考えて、無理なく弾ける運指を楽譜に書き込むことも大切です。
無理な運指で弾いてしまうと、スムーズに弾けなかったり、音楽的な表現が難しくなったりします。
しかし、自分にとって楽な指使いは、演奏のために本当に理に叶っているのか、疑問に残る部分があります。
必ず先生と確認しながら、適切な指使いを決めていきましょう。
例えば速いパッセージの音階を弾く指使いで、黒鍵に親指を使ってしまったり、
アルペジオで親指を潜らせるのが苦手な方で、別の指を上から跨ぐNGな指使いを見かけることがあります。
一度悪い癖が染み付いてしまうと、注意してもなかなか抜けないものです。
指使いは譜読みの段階から丁寧に見てください。
【ステップ6】リズムを打つ・歌う・感じる
リズムを正確に読むことも譜読みには欠かせません。
リズムにまだ慣れていない方は、曲のリズムを手で叩いて打ってみましょう。
リズムが打てたら、声に出してリズム唱をしてみることもお勧めです。
例えば、「タタタタ・タン・タン」「タン・タン・ターアン」など。
そして、リズムが慣れたら、実際にメロディーを歌ってみると良いです。
体を使ってリズムを感じる練習はとても効果的です。
【ステップ7】短いフレーズごとに練習する
それぞれ把握できたら、少しずつ弾いてみましょう。
まずは1小節ずつ、あるいは2〜4小節単位の短いフレーズごとに譜読みすると、効率よく進めることができます。
私は譜読みが苦手だった頃、メトロノームをかけて一音一音、そのテンポに合わせて読む練習をしていました。
当時は挫けそうな練習方法でしたが、これが効果抜群でした。
メトロノームを掛けると、そのテンポで次に進んでいかないといけないので、
「一音を弾いたら次!」みたいに集中力が持続されて、脳が活性化されるのが自分でも分かります。
少し長めの曲は、1曲全部を一度に譜読みしようとすると疲れてしまうので、
「今日はここまで」と決めて、少しずつ進めましょう。
慣れない方は、数小節だけでも良いので、丁寧に確実に進めていくことがいちばんの近道です。
いっぺんに全部譜読みをしようと思うと、最後まで読んでも最初に戻ったら全部忘れていた、ということがあります。
【譜読み慣れ】に潜む“落とし穴”にご注意!
ここで譜読みがある程度できるようになってくると、
「だいたい合ってればOK!」と感覚で弾いてしまうクセが出てくることがあります。
特に多く見られるのがこのような傾向です:
- ハーモニー(和音)が“なんとなく”合っていれば良いと、細かい音を読み飛ばしてしまう
- 指使いが毎回違う、結果的にいつまでたってもスムーズに弾けない
- リズムをごまかして速さだけで乗り切ろうとする
こうした「雑な譜読み」は、初見力や演奏の安定感に悪影響を及ぼします。
譜読みは「読んで終わり」ではなく「精読して身体に落とし込む」作業です。
譜読みが慣れてきた時こそ、「正確さ」と「丁寧さ」を忘れないようにしましょう!
例えば、指使い。その都度違う指でなんとなく弾いていると、いつまでも手に定着せず、
テンポ・アップや暗譜、表現に入れません。
和音も一つひとつ正しい音を確認して、耳で聴いて、手で覚えることが大切です。
特にクラシック音楽は、作曲家の意図した細部のニュアンスが、1音の違いで大きく変わります。
さいごに
譜読みは、単なる作業ではなく、音楽の本質に触れるための第一歩です。
楽譜に書かれた情報を正しく読み取り、理解し、それを自分の手を通して音にしていく—
その過程には、作曲家と対話するような大きな喜びがあります!
ピアノを長く続けていく中で、「譜読み力」は表現力や初見力、暗譜力など、あらゆる土台になっていきます。
最初は大変ですが、慣れてくると「こんなに美しく、楽しい時間はない!」と思うくらい、
楽譜と向き合う時間は奥深く、研ぎ澄まされる時間です。
まずは「音とリズムを正確に読むこと」「指使いや和声を意識すること」「丁寧に向き合う姿勢」が、
確実に上達へつながっていきます。
譜読みは、毎日の小さな積み重ね。
焦らず、一歩ずつ、自分のペースで練習を重ねていけば、きっと「譜読みが得意!」と思える日がやってきます。
これからも、音楽と真摯に向き合いながら、丁寧な譜読みを続けていきましょう♪