コンサート三昧な春
新年度が始まり、早いもので二週間が経ちました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
私はこの春休み、数ヶ月前から楽しみにしていたコンサートへ足を運びました ! 素晴らしい音楽に触れると、作曲家や演奏家から計り知れないエネルギーをもらい、全身が生まれ変わるような感覚になります。肌で感じた感動の余韻に何日も浸り、この上ない幸せを感じる日々を過ごすことができました。
この春休みは、まさにコンサート三昧!
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3月25日・28日:ジャン・ロンドー チェンバロ・リサイタル(東京文化会館・三鷹市芸術文化センター)
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3月29日:サー・アンドラーシュ・シフ(所沢ミューズ)
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4月5日:イム・ユンチャン(サントリーホール)
さらに3月27日には、友人であるエマニュエル・リモルディのリサイタルにも急遽ご招待いただき、密度の濃い音楽体験が続きました。
恩師から受け継いだ「聴く」という姿勢
こうした日々の中で、ふと恩師の言葉を思い出していました。
「生のコンサートを聴かなくなったら終わりよ!
ピアノを学ぶ人も、教える立場の人も、コンサートへ行かないなんて信じられない。
音を知らずに、感動することを忘れてどうするの?」
多忙な日々の中で時間を工面するのは容易ではありません。しかし恩師は、どんなに忙しくてもスケジュールを縫って会場へ足を運んでいました。
感動した瞬間には目をキラキラさせて興奮し、時には先生特有の辛口なご意見を口にする。
そんな姿を見るたびに、「生の音楽に勝る美しさはない」と教えられた気がします。
学生時代、演奏会の後は必ず近くのレストランやカフェに寄り、感動を分かち合ってから帰るのが常でした。
今も、あの時の恩師の生き生きとした姿が目に焼き付いています。
忙しい日々を過ごすと、ついコンサートのチェックを怠ってしまう自分がいるのですが、恩師を思い出しながら時々反省します。
ロンドーとシフのコンサート
今回の演奏会からも、多くの学びをいただきました! ロンドーが描いたルイ・クープランの世界は、一音目からバロック期のフランスの香りがホール中に漂うよう。
一音目から音の香水を纏わせ、一瞬で聴衆を虜にする空間造り。繊細な感性と完璧にコントロールされたテクニックに、ただただ魅了されました。


また、「大先生」と敬愛するサー・アンドラーシュ・シフ。その演奏は神がかっており、同じ人間であることが信じられないほど次元の違う領域でした。
前半だけで1時間半、計3時間半にわたる長丁場も、時間を忘れてずっと身を置いていたくなるような、温かい空気に満ちていました。
あまりにも素晴らしすぎて、音楽が時間と共に通り過ぎていく瞬間が儚く、美しいものに身を寄せる幸福感で心が満たされました。



掛けがえのない体験
一つだけ残念なのは、東京ではホールの外に出た瞬間に「現実」に引き戻されてしまうことです。
駅に向かえば、そこには溢れんばかりの電子音。今となっては仕方ないことなのですが、普段は慣れてしまっているはずの駅構内の電子音が、コンサートの後は違和感として響き、感覚が鈍くなっていくような寂しさを覚えます。
イタリアで学んでいた頃は、劇場を出るとそこには中世の街並みがあり、生活と音楽が地続きで、街そのものからインスピレーションを受け続けることができた環境を、ふと懐かしく思い出します。
帰宅して早々、耳に音が残っているうちに練習を始めましたが、やはり思うようにはいきません…
明け方まで苦戦しながらさらうのですが、その「もどかしさ」も含めて幸せな時間です。
「練習が嫌い」という言葉を耳にすることがありますが、そんな時こそ、ぜひ本物の演奏を聴きに行ってほしいと思います。
素晴らしい音楽を浴びることは、私たちにとってモチベーションになるはずです。
心を動かされる音楽を聴いた後の幸福感。特に若い方には音楽に限らず、様々な経験や数えきれないほどの感動を、たくさん味わってほしいと願っています。
