イタリアの音楽留学
時々、イタリアの音楽留学のお問い合わせを頂いたり、イタリア留学を希望する生徒がおり、
イタリアの国立音楽院入試事情について質問を頂くことがあるので、
国立音楽院の受験について書いてみたいと思います(長文です)。
イタリアの国立音楽院(Conservatorio di Musica)は全国に約60校あります。
イタリアの教育機関が管轄し、日本の音楽大学・大学院に相当します。
私はフィレンツェの国立音楽院(大学院)のピアノ科とチェンバロ科を修了しました。
当時、私が受験した頃と今は異なる点もあると思いますが、
先日学校に問い合わせたり、音楽院で教えている友人達から聞いたところ、
受験時の雰囲気は当時と変わらない印象でした。
申し込み方法は、以前はイタリア文化会館を通して願書提出が可能でしたが、
現在はイタリアの教育機関にオンライン登録をし、下記のリンクより準備を進めていくことになります。
日本からイタリアへ留学する場合、ほとんどの方が日本の音大を卒業して、
イタリアの大学院(Diploma di Secondo Livello)に入学されると思います。
レベルは学校により若干異なりますが、大都市の音楽院は留学生も多く音大卒業〜大学院レベルが求められます。
逆に、小さな街の国立音楽院は受験曲の演奏時間が若干少なく、主要な音楽院と比べると難易度は少し下がるかもしれません。
Diploma di Secondo Livelloのコース(大学院)は年齢制限がなく、私が在籍していた頃は定年退職された方も入学されていました!
若い頃に大学まで卒業し、また定年後に勉強を再開したいと意欲的な方が多く在籍し、
改めて若い学生さんと一緒に学ばれる姿から、私も影響をたくさん受けることができました!
受験準備と試験の雰囲気
留学情報のサイトでは記載されていないリアルな印象を少しだけ書いてみたいと思います。
日本と違う点は、イタリアは「付きたい先生の空きがないと入れないことがある」ということが起こります。
そのため、受験する前に行きたい音楽院の先生にレッスンを受けて準備する方が多くいます。
もちろん、飛び込みで受験して合格している学生も多くみています。
留学準備のオススメとしては、事前に音楽院の先生にレッスンを何度か受けて、
先生に入学できる可能性があるかどうか、直接質問してみると良いと思います。
「大丈夫!私のクラスで一緒に勉強しましょう!」と事前にお墨付きを頂ければ、安心して受験することができると思います。
世界各地で開催されているマスタークラスでレッスンを受けて、自分に合う先生を見つけることも大切です。
また近年ではイタリア語の試験もあるので、日常会話レベルの語学力は身につけておく必要があります。語学は本当に大切です!
入学してからも授業はイタリア語ですし、先生は板書をしないので、先生が話したことをノートに書き取らないといけません。
私の様な外国人で、授業を録音している学生もいましたが、1科目1時間半〜2時間の授業が1日に数コマあり、
毎回録音して聞き直す時間は正直ありません…
レッスンも週に2〜3回あるので、練習時間で時間が取られてしまいます。また進級試験は全部口頭試問!ペーパーはありません。
ですので、語学はなるべく早めに準備をされることをお勧めします。
最近の入試要項を読んでいますと、初見視奏がある音楽院もある様です。
ほとんどの音楽院が実技試験とイタリア語の試験のみですので、
希望する音楽院のホームページに進み、ammissione(入試)のページで確認してみて下さい。
受験曲は学校によって異なりますが、私の場合は40分程度の自由曲でした。
当日は全曲演奏ではなく、先生がその場で指定したものを演奏します。
私が提出したプログラムは、
- スカルラッティ:ソナタ3曲
- シューベルト: ピアノ・ソナタ イ短調 D.845
- 武満徹:雨の樹 素描
私の記憶では25分程度演奏して試験は修了し、舞台から降りてすぐに「合格です」と言われ、
試験官の先生方がハグをしてくれたことは思い出です!
試験方法は日本と全く異なり、演奏する前に試験官の先生方とお話する時間もあります。
挨拶と自己紹介をし、提出した曲目を全部イタリア語で伝え、簡単な質問もありました。
その会話が、当時ではイタリア語試験に含まれていました。
当時、合否は音楽院の出入り口ある掲示板に張り出されましたが、現在はサイト上で公開になります。
フィレンツェの国立音楽院を選んだ理由
私の場合、国立音楽院に入学する前は『イモラ国際ピアノアカデミー』で、
ステファノ・フィウッツィ先生のクラスで研鑽を積んでいました。
時には1時間のレッスンが4小節で終わってしまうくらい、1曲を細かくアドバイス下さるフィウッツィ先生のレッスン。
ある日、バッハをレッスンに持っていき、宗教音楽の内容や歌詞、当時の楽器の仕組みや時代背景など細かく説明して頂いたり、
たった4小節のテーマの意味を深く追求するレッスンで、イモラで勉強した3年間では全然足らず、
レッスンを続けて受けたいと思いをご相談したことがありました。
フィレンツェの国立音楽院も教鞭を取られていた先生は、「僕のクラスに来たらいい!」と声を掛けて下さったことがきっかけで、
フィレンツェの国立音楽院を受験することに決めました。
もちろん受験は緊張しましたが、試験曲はイモラのディプロマ試験やコンクールで演奏したもので、何度も人前で演奏していた曲で臨み、
試験官にはフィウッツィ先生もいらしたので、アットホームな雰囲気で落ち着いて演奏することができました。

フィレンツェの国立音楽院(第2校舎)
イタリアの先生は親身になって下さる方が多く、関係はファミリーの様です。
先生との出会いはご縁ですし、知り合う機会やタイミングは運もあると思います。
先生と知り合う機会を作ることは難しく感じることもあるかもしれませんが、
イタリアとご縁がある先生を通じてご紹介して頂くことも可能ですし、
世界各地で開催されているマスタークラスに参加して先生を探すこともできます。
時間も労力も掛かりますが、誰と勉強するかで留学生活の質も、人生も変わってしまいます。
その後の就職を考えると学歴を重視する傾向がありますが、何よりも「誰と学ぶか」が大切だと思います。
最後に
イタリアはピアノ、オペラ発祥の国!
その息が未だに根付いており、クラシック音楽を学ぶには最高の環境です!!
一流のコンサートやオペラは毎日の様に劇場で鑑賞することができますし、
音楽を学ぶのに必須なイタリア語は、まるでオペラを観ている様に日常飛び交っています。
職人気質の先生方の授業やレッスンは、日本で学んだことを更に深掘りして学ぶことができます。
そんな素敵なイタリアで、一人でも多くの方にクラシック音楽の素晴らしさを追求して、
素敵な音楽家になって欲しいと心から思って止みません。
イタリア留学総合サイト
イタリア留学に関して、イタリア外務国際機関が運営している『イタリア留学総合サイト』は情報が豊富です。
是非、参考になさって下さい。

イタリア政府奨学金
国立音楽院で学ぶにあたり、政府の国費留学生として「イタリア政府奨学金」制度があります。
私も奨学生に選抜して頂き、学生時代は大変助かりました。
コンタクト
また、イタリアの音楽留学について質問などございましたら、
コンタクトよりお気軽にお問い合わせ下さい。