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情緒の教育

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さまざま想うこと

文章がリズムよく心地よいのに、直に訴えてくる感覚が好きでよく手にする数学者の岡潔さんの本。
『情緒の教育』という本は絶版になってしまっているのが残念ですが、
短編でテーマごとにまとまっていて読みやすく、隙間時間に手に取ることが多いです。
この本を再度読み返したきっかけは、先日の谷中巡りと、コンクールの聴講でした。

谷中霊園で横山大観のお墓参りに行った帰り、
朝倉彫塑館の看板を目にして、閉館1時間前でしたが足速に訪れることができました。

台東区谷中に、彫刻家の朝倉文夫のアトリエと住居だった建物が一般公開されています。
母から聞いていて、一度訪れたいと思っていた場所。
建物は1935年に建てられ、細かいところまで行き届いたこだわりに思わず座り込んで、
何時間でも庭園を見ていたくなるような空間でした。

朝倉彫塑館(旧朝倉文夫宅) ―水の中庭― /東京の庭園/造形礼賛

時間は進んでいるけれど、止まっているような感覚。
自然と融合する庭園を眺めていると、一種の瞑想状態になる感じがします。
四季折々の情緒を感じる日本庭園という空間、

心が無になる特殊な場所です。

またこういう空間をこだわって創り、自らの芸術を生み出していく生き方、
強烈なこだわりと、踏み込んでいく信念が未だに宿っていて、
音楽の場合も、アプローチする軸の強さと大切さを再認識しました。

先日、小学生のコンクールを聴きに行った時に感じたのは、
日本人の良さである「情緒」がどこかへいってしまい、
音楽が完全に「競争」になってしまっている現状。
偶然、その時の演奏がそう感じただけかもしれないのですが、
コンクールで「通る演奏」を追求するばかりに、大切なことが欠けてしまわないか、
危機感を覚え、教育の難しさも感じます。

コンクールをしながら純粋に音楽を感じて、
人間の醍醐味である「感動する心」を失わないよう育む難しさを痛感する数日。

岡潔さんの本と、朝倉彫塑館の鑑賞から、多くのヒントをいただきました。

「自然や生命に感謝することが、情緒や知性を育んでいくことに繋がる」
改めて感じることがあります。

台東区立朝倉彫塑館
※団体でご来館の場合は、事前にご連絡をお願いいたします 朝倉彫塑館をおうちで愉しむ。 MOVIES YouTu