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ピアノのための運動機能と脳発達

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運動神経と脳機能の発達

ピアノのレッスンをしている中で、
ピアノの向上にとって運動神経は非常に大切な要素だとつくづく思うことがあります。
私は運動機能や脳科学の専門家ではないので、無知な部分も多々ありますが、
経験と持論を含めて、特に幼児〜小学生の年齢に当てはまるお話をしたいと思います。

運動は私たちが成長する上で大切な要素がたくさんありますが、
特に幼児〜子供さんが成長する段階において、
適度な運動(遊び)は様々な神経や脳を発達させるために非常に重要で、
科学的にも多くが実証され、世界中の論文でも発表されています。
私も時々、読みながらレッスンや自分の練習に参考にさせて頂いています。

数日前、偶然見つけた文部科学省のホームページに掲載されている内容で、
「5歳頃までに約8割程度まで神経機能が発達する」という文章を読んだ時、
そんなに早い時期で発達してしまうことに驚き、興味深く思いました!

幼児期は、神経機能の発達が著しく、5 歳頃までに大人の約 8 割程度まで発達するといわれています。
そのため、タイミングよく動いたり、力の加減をコントロールしたりするなどの運動を調整する能力が顕著に向上する時期です。
運動を調整する能力は、新しい動きを身に付けるときに重要な働きをする能力であり、
幼児期に運動を調整する能力を高めておくことは、
児童期以降の運動発達の基盤を形成するという重要な意味を持っています。
(文部科学省ホームページより)

幼稚園や保育園で、コミュニケーションを取りながら身体全体を動かし、
運動(遊び)や、手先を使って図画工作することは、

とても意味があることなんだと改めて思います。

私は幼稚園に入る前にお友達とコミュニケーションを取る練習で、
カワイ音楽教室「3歳コース」で、1年間リトミックに通っていました。

あまり記憶にないのですが、音楽に合わせて段差があるとこを飛んだり、踊ったり、
タンバリンやカスタネットでリズムを打ちながら歌い、

折り紙をして指先を使うことなど、
振り返ると意味があることだったと、改めて感じることがあります。

 

レッスン中に思うこと

レッスン中、生徒さんがあるパッセージで難しそうに弾いている時、
練習方法を幾つか伝えながら一緒に練習することがよくあります。

そうすると、すぐに弾きやすくなった!と反応がある方と、
何週間も克服に時間を要するケースなど様々。
技術は人それぞれのペースと、身体の成長を含めタイミングと個人差があり、
いつか克服できることが多いので、ゆっくり見守ることも大切ですが、
曲を作り上げていく段階で本人が良い方向に進んでいる実感があると、
子供さんにとってモチベーションが上がると思います。

生徒さんとお話している中で面白いと思うのは、
運動好きで身体をよく動かすことをされている方は、指や身体の使い方の反応が早く、
やはり運動神経と脳の伝達が関係していることに気づかされます。
また、運動されていると体幹もしっかりしてくるので、姿勢がよく集中力があります。

お家で引きこもっていそうな生徒さんには、特に幼少期〜小学生は運動や外で遊ぶことを勧めています。
また家の中で練習だけしていても、上達の仕方が偏るというのが私の持論です。

音楽すること、ピアノを弾くことは様々なことと重なりあって、影響し合っています。
運動神経だけではなく、感性もそうです。
たくさんの経験や、友人とのコミュニケーションから生まれるものもありますし、
自然と戯れる経験や、自然の音に耳を澄ましたり、香りを感じることも大事です。
美術館に行って、本物と触れながら色彩を知ったり、
また本を読んで、想像力を磨いたり、知識を磨くことも大切です。

そして「人生100年時代」といわれる世の中ですので、
生涯長くピアノを弾き続けられることが理想だなと思うのです。
運動機能、脳、神経機能が発達する時期に、
身体を動かして基本的な体力作りと、
健全な身体を作っていくことがいかに大切か改めて思います。

そして私の様な年齢になっても、健康で体力がなるべく衰えない様に、
出来ることを続けていくことは留意しないといけないと実感しているところです。

運動機能について調べていた時に、興味深い発表を目にしました。

国立大学法人筑波大学 紙上敬太准教授と、
国立大学法人神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 石原暢助が、
ノースカロライナ大学(米国)、バーゼル大学(スイス)、ノースイースタン大学(米国)との国際共同研究のなかで、
習慣的運動が認知機能に与えるプラスの効果は、
もともと認知機能が低い子供ほど大きいことを明らかにしたという内容です。
(2020年7月1日付け Johrnal of Clinical Medicine)

①運動トレーニング前にもともと認知機能が低かった子供ほど、運動トレーニングによる認知機能の改善が大きかった。
②運動トレーニング前から認知機能が比較的高かった子供でも、運動時間の増加によって認知機能が低下しなかったことが示された。

「運動前に認知機能が低くても、運動によって改善が大きい」
ピアノの技術もそうで、難しく弾けないパッセージがあっても、
正しい練習方法を取り入れて日々鍛錬していれば、必ず改善されていくと思います。

また、運動・身体を動かし、使っていない神経や脳機能を目覚めさせることも意味があり、
運動することでピアノの技術が向上する等、レッスンで目の当たりにすることがあります。
指を動かすのは、指が勝手に動いてくれるのではなく、脳が指令を出して動かすということを理解するのも大切です。

「テクニックは12歳までで決まる」と、著名な先生が音楽雑誌のインタビューで答えていらして、
絶望的な気持ちにもなったこともありましたが、
実際は、今でも練習すればテクニックが向上していく実感があります。
何歳になっても磨くことは可能です!

人それぞれ得意・不得意があると思いますが、諦めないでコツコツが大事。
信じて、そして賢く鍛錬していきましょう!