バッハのレッスン
関西からほぼ毎月、飛行機ではるばるレッスンに通って下さっている生徒さんのレッスンが先日ありました。
彼女との4時間のレッスンはいつもあっという間です!
バロック音楽を中心としたレッスンは毎回私にとって楽しみで、つい夜な夜な予習をしてしまいます。
バッハは本当に奥が深く、レッスンは半小節ずつ止めながら細かく一緒に追求していくレッスン。
毎回、時間内に伝え切れなかったと反省するばかりで、その後も録画を送ってもらいチェックするのですが、
先日レッスンにいらした際に楽譜の書き込みがいっぱいで驚き!思わず「えーーー!!」と目が点に (°_°)
私のアドバイスを細かく書き留めてくれていました。
「できる様になったところは消そうと思ったけれど、愛着あって消せないんです」
なんて嬉しい言葉でしょうか…
J.S.バッハの『イタリア協奏曲』は皆に親しまれる傑作中の傑作で、
原題は『イタリア趣味によるコンチェルト』(独語:Concerto nach Italienischem Gusto)。
- (アレグロ) ヘ長調
- アンダンテ ニ短調
- プレスト ヘ長調
の急-緩-急の3楽章構成で、コンチェルト・グロッソという、グループで交代しながら合奏するイタリア形式で作曲されています。
楽譜上にはfとpで記されていますが、強弱を表すものではありません。
合奏でソリストとTutti.の転換を、チェンバロでは上と下の鍵盤を変えながら演奏する指示、と捉えて解釈します。
ピアノで弾いた際も合奏として聴こえてくる様に、様々な楽器の音色が立体的に聴こえてこなければいけません。
そして当時はもちろんチェンバロで演奏されていた曲ですので、繊細なアーティキュレーションや音色を、
ピアノでどう表現するか追求しなければいけない難曲です。
時々、5〜6歳で弾いている方を見かけるのですが、その年齢で理解するのは難し過ぎると私は思います。
文章では分かりづらいので、動画で是非聴いてみて下さい♪
一つ目はイタリアのチェンバロ名手、マルコ・メンコボーニ氏の演奏で、
上下の鍵盤を使い分けた音色の変化と繊細なアーティキュレーションを、
是非、耳を澄まして聴いて頂きたいです!
そして二つ目はバッハの名手、Sir.アンドラーシュ・シフのピアノで。
三つ目はオーケストラバージョンに編曲したもので、バッハのオリジナルではないですが、イメージを膨らませる為に非常に参考になります!
6分31秒より「イタリア協奏曲」:オーケストラバージョン(編曲)
私自身はこの曲をピアノではなくチェンバロで初めて勉強し、トン・コープマン先生のレッスンも受講することができました。
あまり使われない特殊な指遣いを使って表現の幅を広げる工夫や、音にグラデーションをつけるチェンバロのタッチ、
私の頭では思いつかない、考え抜かれたアーティキュレーションや呼吸の仕方、間の取り方など、
1小節ずつ止めながらのレッスンは目から鱗でした。
あの時に頂いた数々のアドバイスを、こうして生徒さんにお伝えできる幸せ、音楽を伝えていくことは尊い時間だな心から思います。
『イタリア協奏曲』の楽譜を広げる度に、コープマン先生の書き込みを見ながら、
「もっともっと勉強しなければ!」と初心に返ることができます。
📢 最後に告知です。
恩師であるコープマン先生、今年の11月9日に、東京のすみだトリフォニーホールでコンサートされます!
チェンバロとパイプオルガンを一夜で堪能できる贅沢なコンサート。
今年80歳になられる先生ですが、世界中を飛び回って演奏活動されています。
是非ぜひ、お出掛け下さい♪