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コンクールの選曲

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コンクールの選曲について思うこと

コンクールシーズンに向けて、東京圏外からもコンクールの曲をレッスンに持っていらっしゃる生徒さんが増えてきました。

そこで選曲の話になることが多く、私もそれぞれの生徒さんに合う選曲をしたいと試行錯誤、頭を捻ねります。

選曲の段階で、既にコンクールは始まっているからです。選曲も戦略のひとつ

コンクールは良し悪しがありますし、音楽はスポーツではないので絶対的なものはなく、
演奏に点数をつけるのは非常に難しいことだと思っているのですが、

経験上、コンクールにチャレンジした生徒さんたちは、確実に音楽だけでなく人間的にも大きく成長しています。

そのため、自分を表現する為の選曲は、成長過程のためにも大事な要素だと思っています。

 

課題曲と自由曲

課題が指定されている場合は、差が露骨に出てしまいシビアな部分があります。

ピティナの様に4つの時代スタイルの弾き分けをしなければいけないコンクールはとてもハードで、
全ての時代のスタイルの弾き分けを理解して演奏しなければいけません。
また4曲を約5ヶ月で人前に出せるレベルまで持っていくことは、
多くの方にとって大変なことだと思いますが、その経験は大きな成長に繋がります。

自由曲の場合は、自分の持ち味を生かした選曲ができますし、人によっては好きな曲であれば練習にも一層モチベーションが上がり、

チャレンジしやすいメリットがあるかもしれません。

課題曲と自由曲のコンクールで違いはありますが、選曲方法について個人的な意見を少しだけ書きますと、

「自信を持って表現できる、自分に合ったレベルの曲を選曲すること」は、非常に大切だと思います。

難しい曲にチャレンジをすることは技術力を上げるためには良いですが、
本番直前にギリギリ形にして、「なんとか最後まで弾けました」という仕上がりでは、
点数の問題だけではなく、メンタル的にもあまり良くありません。

特に子供さんにとって、舞台への恐怖感が記憶に残ってしまうことも良くないですし、
自信を持って舞台を楽しむ、臨めるという姿勢はとても大切です。
コンクールもコンサートも舞台は表現する場」です。
一人ひとりに合った選曲は必ずあると思いますので、力を発揮できる曲を熟考してみて下さい。

成長するために、時には自分にとってハードな曲を選んで挑戦する経験も良いと思いますが、
その場合は、間近に迫っているコンクールではなく、練習を積み重ねて仕上がってきたところで舞台に出す方が、
舞台経験を重ねていくという意味で、良い方向へ進んでいけます。

これまで、飛び級をしてチャンレンジした生徒さん達もいらっしゃいました。
難曲にチャレンジする場合、その分、乗り越えないといけない山がたくさんありますので、練習もハードになります。

レベルに合った選曲、または少しだけ負荷を掛けても乗り越えられるか等、
現在、師事している先生のご意見を聞いて、相談してみることが大切だと思います。

 

プログラムの組み立て方

自由曲では自分の得意な曲を選曲できるわけですが、参加者全員が同じ条件で、自信のある曲を準備されます。

通常、演奏時間枠内でプログラムを組むことになりますが、
その時間内で1曲の場合と、複数曲の組み合わせになる時に、また考えないといけません。

複数曲の時、もし同じキャラクターの曲を並べた場合に聴いている人がどんな印象を持つか。

私が審査員をしている時に、特にイタリアのコンクールは演奏時間が長いので、
プログラムを見た時に「知的な選曲か、そうでないか」すぐに分かってしまい、
弾く前から先生方がコソコソと話し始めることがありました。

楽曲の調性の並べ方はどうか、曲目の順番など、選曲でもその人のキャラクターが見えてきます。

イタリアの先生方もよく仰っていましたが、プログラムはお料理のフルコースと同じ

お肉ばかり並べられても食べれない、だからといってサラダばかりでも物足りない、

最後のデザートが「これでもか!」というくらい生クリームいっぱいの大きなケーキだったら…

きっとこれまで頂いたお食事が帰り際には胃もたれして、台無しになってしまいます。

オードブル⇨スープ⇨お魚料理⇨お肉料理⇨サラダ⇨デザート⇨カフェの様に、

バランスの良い選曲はとても大事です🍽️

お肉⇨お肉⇨お肉⇨ピザ⇨コーラ、、、の様なプログラムですと、聴く方も疲れてしまいます。

以前、中学生の生徒さんとコンクールの選曲の組み立て方をお話していたらお母様が、

「すみません!まだこの子にはフルコースに連れて行ったことがないんです!社会勉強で連れて行きます!!」

と大笑いになったことがありました。

 

一般的な有名な曲

名曲と言われる曲も注意が必要です。

課題になっている場合は良いのですが、自由曲で選ぶ時、私はあまりお勧めはしていません。
有名な曲は、先生方は楽譜もよく見ていますので、
それぞれ曲の解釈で「こうあるべき」の様に、こだわりがあったりします。

「エリーゼのために」は有名ですが、そういえばコンクールの審査で一度も聴いたことがありません。

しかし、「絶対弾きたい!こう表現したい!」という確固たる意志の強さがある場合、ご本人の気持ちを尊重して、挑戦する価値はあるかもしれません。

 

まとめ

コンクールであっても、「舞台は表現をする場」ということを忘れずに、
作曲家や楽曲への理解を深め、本番では自分なりの表現を
120%発揮できる選曲を心掛けてほしいです。

他人と演奏を比較されてしまうことがあっても、勝ち負けの結果が大事なのではなく、
自分が決めた目標や、どういう音楽を描いていきたいのか、真摯に向き合い、
ひたすら求める努力を続けていくことが大切だと思います。

審査員の先生方も、参加者の方と同じく人間です。
機械が審査するわけではありません。
どんな素敵な演奏に出会えるか、皆、楽しみにしているものです。
そこで減点されない様に、安全運転な演奏をしても、心に残りません。
皆コンクールを忘れて、感動をしたいと思っているはずです。

舞台で自分の力が発揮できる選曲を、先生とご相談されてみて下さい ♪