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イタリアのアパート探し 後半

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アパート探し開始 フィレンツェ編

フィウッツィ教授の後押しもあり、早速フィレンツェ中心街のアパート探しを開始!

この時期、ミラノからフィレンツェに引越をした為、音楽院ではなく語学学校のビザで滞在していました。
その為、午前中は語学学校で授業を受け、午後はアパート探し。

当時は物件情報のフリー冊子がスーパー等で週2回配布されていた他、売店でも物件情報誌を購入することができました。
細かく蛍光ペンでチェックして電話、その時に必ず日本人だということを強調しました。

イタリアでは日本人をリスペクトしている方が多く、口調が優しくなることがあります。
まず電話で物件の詳細を電話で聞き、内覧のアポを取っていくのですが、
語学力がないと思われると途中で電話を切られてしまったり、
落ち込むこともありました。


しかし少しずつ慣れてくると、突然、言葉が自然に出てくる様になり、
毎日繰り返した何十回もの電話で語学力がメキメキと上達!

内覧は一日3〜4件、ミラノやフィレンツェ郊外の失敗を経験していたので、今回は慎重に。

陽の光が入るか、ピアノは弾けるか、近所の雰囲気はどうか、危険な地域ではないか、外国人ばかり住んでいる場所は避ける、

近くにスーパーや薬局はあるか、ドアの鍵がしっかりしているか(泥棒が多いので)、
清潔で過ごしやすいか、中心街に近い場所であるか、不気味な場所ではないか、
予算内か、大家さんが感じ良く信じられる方か、

そして欲を言えば、小さくても良いから練習後の身体を癒すバスタブがあるか…..

なんと、100件見て回りました!
不動産屋さんにも、おそらく10件以上は回ったと思います。

 

101件目のアパート

探し始めて3ヶ月近く経った頃、一番協力的であった不動産に再度寄り、
何とか今月中に決めたい旨を伝えたところ、

「1件見て欲しい物件がある!」と言われ、翌日、早速の内覧!
101件目となるアパートは、雰囲気や周辺がこれまでと違う澄んだ空気。

グランドピアノが入るドアのサイズ、一人暮らしには十分な間取り、100件見てきた分、目利きが養われて、
「ここなら大丈夫!」と直感的に思いました!

一つ問題だったのはピアノが弾けるかどうか。

フィレンツェは街全体が世界遺産に認定されていて、許可が下りない工事は許されない為、
もちろん防音のお部屋はありません。

建物は約400年前の石造りのアパートで、音は響き、外に丸聞こえ。
そこで大家さんと不動産屋さんに一日だけ待って頂き、
その後にご近所さんを訪ねて、ピアノを弾いても良いか聞いて回ることにしました!

お隣には90歳のお婆様が一人暮らしされていて、
「私は年で耳が聞こえないから大丈夫よ」と優しく承諾して下さり、
上に住む女性は歌劇場でオペラの衣装担当をされているので音楽好き、

「あなたが来てくれたら嬉しいわ!」と仰って頂きました。

そして下のお家、エクアドル人の3家族が共同生活をしていました。
「普段はみんな仕事でいないし、帰ってくると賑やかにしているからピアノは問題ないよ!
僕たちの方が毎日うるさくしてるから迷惑かけると思う!気にしないで!」

と言って下さり、「やっと決まった…..」という安堵感で涙。

探し始めて3ヶ月。正直、苦しかったです。

おそらく二度とこんなに苦労する物件探しはないことを願っていますが、
この3ヶ月の経験で、イタリアで暮らしていく免疫力が鍛えられた気がします。

イタリアに長年住んでいる日本人の皆さんによく言われた言葉。

強くならないと、やっていけない!

はじめはその意味が分かりませんでしたが、今は本当にそう思います。
特に家探しは、みんなが苦労します。特に楽器を弾く方は大変!
タフであることは大切な気がします。

 

たくさんのご縁

ミラノから始まり、フィレンツェのアパートに落ち着くまで半年以上。

家のご縁は、運とタイミング」とみんな言います。

見つかる方は1回で決まりますし、見つからない人は私の様に転々としています。
特に音楽をしている方は、みんな苦労話を持っていました。

留学始まって早々、難が多々ありましたが、私にとって音楽が生まれたフィレンツェが、
数えきれない多くの経験と共に成長させてもらえた大好きな街です。
一瞬で終わったミラノのアパート事件も、
きっと何かの計らいだったのかなと今では思います。

最後に落ち着いたアパートは、イタリアを撤退するまで18年間住んだ場所となりました。

入居してピアノを弾き始める時は恐る恐る、小さな音から弾き始め、
少しずつボリュームを上げていったのですが、
ある日、1曲を弾き終えたら、窓を開けて聴いていたご近所さんたちが、
「Brava!!」と言って拍手をしてくれたのです!

思わず私も窓を開けて「Grazie !!!!!」と応え、家探しをめげずにした甲斐があったと、
初めて報われた気持ちになりました。

斜め前にはオペラ歌手、ギターを弾く職人さん、日本人の素敵な女性も住んでいました。

日本人女性はイタリア男性とご結婚し、家族を持っていらして、
クリスマスやカウントダウン、イースターなど家族で過ごす大切な時間に毎回ご招待して下さり、
今でも私にとって母的存在であり、尊敬する友人です!

不思議なもので、やっと音楽に没頭できる生活環境が整うと、
あの悪夢の様な3ヶ月がいつの間にか遠い昔のことのよう。

結局、朝9時から〜21時半(13時半から15時は休憩)まで練習が許され、
ご近所の皆さまには感謝してもしきれないどころか、
いつもコンクールやコンサートの本番前に励まして頂き、

「今朝弾いていた曲、素敵だったわ〜!」と声を掛けてくれましたことが、モチベーションにもなりました!

 

最後に

最後に、これから留学を検討している方へアドバイスが出来るとしたら、
どうか語学力をコツコツ磨くことをお勧めしたいと思います。
私みたいに電話を切られてしまわないように、、、

また語学力がないと、本当にナメられてしまいます。
契約を誤魔化してくる人も中にはいます。

後で文句を言っても、理解力がなかっただけでしょ?と言われてしまえば、それまでで…
言葉が分からず、なんとなくサインをしてしまえば、それは承諾したことになってしまいます。

言葉の壁を乗り越えると、ストレス度が一気に楽になります。
毎回、通訳の方が同伴することは難しいですから…

語学はその土地で生きていく手段で、
出来るとコミュニケーションが取れる歓びになります!

私もイタリア語で楽しく会話ができるよう、勉強し続けようと思います 🇮🇹