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基礎ーマムシ指について①ー

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強い指をつくるための幾つかの方法 <マムシ指編>

今日は『ピアノを弾くための指作り』についてお話していこうと思います。

特に、「マムシ指」と言われる方にとって、とても大切な内容ですので、是非お付き合い下さい。

子供さんや、ピアノ入門〜中級の方で、

「指が弱い」「指が回らない」「音が立っていない」と先生に言われたり、自分でも感じたことがある方、案外多いかと思います。

私自身も、指が弱いと自覚して悩んだ時期がありました。

ピアノの鍵盤はたった約50~60gなので、筋肉質でマッチョな指を作る必要はなく、

逆に「硬い」筋肉がありすぎると、指の軽快さが鈍るので注意が必要です。

しかし、ピアノを弾くための強い指(支えられる指)を日々鍛えて作っていかないといけません。

「マムシ指」と言われる、いわゆる親指の第2関節(MP関節)が凹んでしまったり、

他の指の第1関節(DIP関節)が、くにゃっと凹んでしまう癖がついてしまう方がいます。

特に子供さんの指はまだ柔らかいので、マムシ指の癖がある方が多くいらっしゃいます。

また、入門者の方で電子ピアノで練習している方、癖が強く状態が良くないピアノで練習していると、この様な癖が定着しやすいようです。

 

マムシ指で起こりうる弊害

*上手く指を支えることができないので、強弱の加減が鈍くなる

*音がはっきりしない。芯のある音が鳴らない。音が通らない。

*和音を弾くのが苦手

*余計なところに力を入れてしまうため、腱鞘炎のリスクを高めてしまう

*指の動きが鈍くなり、速いパッセージが弾きづらい

*疲れやすい。曲によっては弾き通せない

思いついたものを挙げると、演奏する上で良いことがないどころか、腱鞘炎や腕を痛めてしまうので、

気づいたら早めに改善することをお勧めします。

改善には筋トレと同じく日々の訓練が必要なので、すぐに身に付くわけではなく根気と辛抱がいりますが、

工夫をしながら気をつけていければ、徐々に改善できます。

しかし、気をつけて練習していないと、余計な筋肉を使ってしまい、

また別の癖がついてしまうことがありますので注意が必要です。

辛抱強く「改善しよう!」という気持ちを持ち、集中して取り組んでみて下さい。

癖がつくと治すのに3~5倍の時間が掛かってしまうと、よく言われます。

しかし実際教えていると、運動神経が良く、脳の伝達が早いお子様は、

1週間後のレッスンで治っていることもありますし、

指質の問題や、指先の末端神経の成長が遅い方は,

なかなか反応せずに数年かかってしまう方もいらっしゃいます。

個人差はあるのですが、放置は身体のためにも厳禁。

改善していくものなので、意識をして練習してみて下さい♪

マムシ指を改善する具体的な方法

1)輪ゴムを引っ掛けて練習する

2)マムシの箇所にテーピングをして練習する

3)テーピングで改善しつつある場合は、指サックを装着する

4)段があるところに猿の手の様に指を引っ掛ける

5)小さなボールを握って感覚を養う

1)の輪ゴムの練習

第1関節に輪ゴムを引っ掛けて、片方の手で輪ゴムを持ち、伸び縮みするゴムの弾力を使いながら第1関節をゆっくり動かします。

その時に、手首や腕、肘に力を入れないように、指先の感覚が大事です。

感覚が分かってきたら、第1関節より先端に近い方に引っ掛けて、同じく片方の手で輪ゴムを持ち、同じように練習します。

2)テーピング

少し太めの医療用のテープで、マムシの箇所を2回ほど巻き(血行が悪くなるほど、強くは巻かないこと)、正しいフォームに固定します。

そして、テーピングをしたまま、ゆっくり弾く練習をしてみましょう。

正しい姿勢で、頭の先から背筋はまっすぐ、無駄な力を入れずに指のフォームを意識してみて下さい。

この方法は即効性があり、この方が弾きやすいという生徒さんが多くいます。

3)指サック

文房具屋さんで買えるゴムの指サック(ちょうど第1関節のところに巻ける大きさの物が売っています)を、

関節のところに付けて弾いてみる、またはテーブルの上で弾く様に動かしてみる、こちらも意識できる様になり効果的です。

4)指を引っ掛ける

猿が木にぶら下がっている様に、第1関節を段差があるところに引っ掛けて(私はよくグランドピアノの蓋を使います)、

肘をダランと落とし、指先をフックの様に引っ掛けます。そして腕をゆらゆら左右に動かす練習をレッスンの時にします。

こちらは少し高度なので、指先の感覚が分かる様になったら練習してみましょう。

はじめは先生が横について脱力ができているか確かめ、フォローしてあげることで感覚が掴めてきます。

お家でも親御さんがフォローしてあげて下さい。

5)小さいボールを握る

こちらは柔らかいものと、ピンポン玉の様な少し硬めのものを使います。

先ずは柔らかいもの、ボールがなければ、ぬいぐるみでも良いです。

ぎゅっと握って指先の感覚を養います。その時にマムシにならない様に、指先から徐々に圧を加えて握ってみて下さい。

その後は、感触が全然違う硬いボールを指先で掴んでみましょう。

この練習の直後に鍵盤で弾いてみると、音の鳴り方が変わります。

まとめ

簡単ではありますが、5つの方法を書いてみました。

他にも方法は様々あるのですが、試しやすく効果が高いものを書いてみました。

人によって癖や弱点が違うため、細かいところは実際、目の前で見てみないと分からない部分があります。

テーピングを外し、指のフォームがしっかりしたと思ったところで、

実際演奏してみると、音の立ちが良くなるまでには、

身体全体の使い方も関係してくるので、時間が掛かり奥が深いものです。

しかし、今日ご紹介した方法の中には、ピアノを弾かないでも練習できるものがあります。

隙間時間など思いついた時でも良いので、第1関節を動かす練習をしてみて下さい。

巨匠マルタ・アルゲリッチさんは、「良い音を出すためには第1関節が重要」と語っています。

指は勝手に指が動くのではなく、必ず脳が指令を出して動きます。

脳の伝達が上手く指に届く様に、短時間でも良いので、「集中して」少しずつ練習してみて下さい。

慌てずに、根気よく続けていけば必ず改善できますので、先ずは試してみて下さいね♪

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