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指揮者になるには?

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ロリン・マゼールが語る、指揮者の15の条件

イタリアに留学する時にたくさんの本をトランクに入れて渡伊し、

その中の一冊「マエストロに乾杯」石戸谷結子著(知恵の森文庫)は、

何度も読み返したお気に入りの本でした。

多くの演奏家が音楽や練習についてインタビュー形式で語っている本です。

私の生徒さんで、将来は指揮者を視野に入れているという希望を先日伺い、

これは大変だ!と、当時、線を引いた箇所を思い出し読み返しました。

大巨匠ロリン・マゼールさんのインタビューの中で、指揮者の条件は?という問いに答えています。

その勉強量は膨大で頭クラクラしそうです。

特に私たち日本人は、陸続きのヨーロッパ人から比べると語学力のハンディが大きいので、

海外留学を視野に入れている方には小学生から語学の勉強を始めることを勧めています。

 

質問:「何が指揮者として必要不可欠なものか、何が最も重要なことだとお思いですか?」

マゼール:「一つというのは、ちょっと不可能ですね。15くらいあるんですよ。

もしお聞きになりたいなら全部お話ししますが、

それが全部、お料理の作るレシピのようにバランスよく配合されてなきゃいけないんです。

まず、技術があること、そして素晴らしい耳を持っていること。

記憶力が良いこと、肉体的にエネルギッシュでスタミナがあること。

いい精神というか神経を持っていること、それから野心があること。

温かい心を持っていること、そして音楽を愛していること。

音楽を演奏する人々を愛していること。

次に、技術的にはオーケストラの中の楽器ほとんどを弾ければいい。

まあ、ほとんどと言っても完全じゃなくていいんです。

でもその中の一つだけは完全にマスターしてほしい。

それから作曲ができること。どのように音楽がコンビネーションされているかを知っていること、

自分でもちろん楽譜も書けなきゃいけない。

それから語学ができること。

音楽が出てきた文化を知るために、その国の語学ができるのが望ましい。

つまり、イタリア語、フランス語、ドイツ語、もちろん英語、それとロシア語ができればもっといい。

さらに、オペラやオーケストラだけの曲でなく、室内楽、ピアノ、ヴァイオリン、

そのほかの楽器のために書かれた音楽の幅広い知識がなくてはならない。

そのほか、細かいことを言えばもっとあるんです。

(中略)

政治家たちともわたり合わなくちゃいけないわけだから、

それには法律もよく知っておく必要もある。

例えばレコーディングなどで、会社と契約を結ぶときには法律が必要になってくるわけですからね。

(書籍:マエストロに乾杯 石戸谷結子著より引用)

 

ひゃー!本当に指揮者の知力とメンタルと体力、コミュニケーション力、恐るべし。

マエストロ・ロリン・マゼール以外の巨匠たちのインタビューも、

470ページに渡り読み応えある本です。

機会がありましたら、お手に取ってみて下さい。